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アンチエイジング(健康長寿)を目指した食事の選択

 人は人である限り、年齢と共に一定の速さで体が衰える生理的老化が起きます。
一方、病気や生活習慣、環境などが加わることで、本来の生理的老化の速度以上に老化が進行することを病的老化といいます。生理的老化をできるだけ遅らせ、病的老化を防ぐためには、栄養素をバランスよく食べることが重要です。

 アンチエイジングというと、美肌などをイメージすることが多いと思いますが、表面に限ったことではありません。我々の身体は年を重ねるに従い、血管や全身を支える骨など弱くなっていきます。また、一方で、加齢に伴い、食べる行為の中では、①噛む力の減少、②飲み込む力の減少、③唾液量の減少、④胃腸の働きが減弱、そして⑤味覚の鈍化が進みます。

 年齢に伴い、上記の食べる行為における機能の低下によって、口当たりの良い主食、例えば、ごはん、パンや麺が多くなりがちになり、タンパク質やビタミンの供給源となるおかずが少なくなり、偏ったバランスが良くない食事になりがちになります。

 右図は、食事摂取基準2015の各栄養素の目標量、目安量と推奨量を基に男女の30歳代から40歳代に必要な栄養素摂取量と70歳以上を比較したものになります[1]

 赤い点線に近ければ近い程、30歳代から40歳代に必要な栄養素摂取量と70歳以上に差がないことを示しています。ご覧のとおり、70歳代で大きく減らす必要があるものは、緑の点線で囲っているエネルギーです。

 我々の食事の中では、脂質と炭水化物はエネルギー源と位置付けられるため、これらを少なくする必要があります。

 一方、三大栄養素の一つであるタンパク質は、70歳以上になっても30歳代から40歳代と推奨量に違いはありません。また、それ以外にもビタミンや、ミネラルもタンパク質と同様に違いはほとんどありません。

 年齢を重ねるにつれて筋肉の分解が起こりやすくなるため、必要なエネルギー量が減ったとしてもタンパク質量は若い頃と同様に食べることが良いと考えられています。タンパク質源を食べる量が少ないと体が動きにくい、疲れやすい、体重が急に減るなどの症状が現れます。

 日常生活を送るうえで支障が出つつある状態を「虚弱」と言います。それでは、虚弱状態を予防するためには、どのようなタンパク質を摂ることが望ましいのでしょうか?

 近年、日本人を対象にした報告[2]によると、虚弱に対して動物性タンパク質と植物性タンパク質の摂取による効果の違いは観察されませんでした。しかし、虚弱と全タンパク質摂取量との間に違いが観察されました[2]。つまり、丈夫な体を維持するためには、タンパク質の摂取に関しては質的なものよりも、量(一日にどの程度食べるか)を重視することが重要であることがこの研究からは結論として導かれています。

 食品を選ぶときのポイントは、栄養価の高いものを選ぶことです。栄養価が高いとは、エネルギー量が多いことではなく、タンパク質、ビタミンやミネラルが多く含まれることを意味します。栄養価が高いとは、エネルギー源が高いことと誤解されがちですが、たとえば、肉なら脂肪の少ない赤身肉の方が、脂肪が多く含まれる霜降り肉よりずっと栄養価が高いということになります。また、野菜を選ぶ際には、淡色野菜よりもビタミンとミネラルが豊富な緑黄色野菜を多めにとるようにすると、必要な栄養素は小食になっても確保しやすくなります。

 食べ物を色で考えると、カラフルな食事を食べるということになります。これは、食品添加物や着色料が多く含まれる食品を食べるということではなく、いろいろな色が入ったカラフルな食事=食材が多いことを意味しています。食材料が多い食事がバランスの良い食事に繋がると考えます。

参考文献(脚注)

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要:(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf)
  2. 児林聡美ら. タンパク質摂取量と高齢者の虚弱の関連:日本の多施設共同横断研究の結果より(http://www.nutrepi.m.u-tokyo.ac.jp/publication/japanese/17691.pdf

文責

長崎県立大学 看護栄養学部 栄養健康学科 助教
田辺 賢一

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