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おなかの調子を整えて免疫力アップ

 近年、おなかの中の腸内細菌と腸管免疫に関する研究が盛んに行われており、今日では、腸内細菌叢を良好に保つことによって風邪やインフルエンザに罹患しにくい身体を作り、免疫力をアップすることが報告されています[1][2][3]

 それらの実験報告では、プロバイオティクス、プレバイオティクスや、シンバイオティクスをヒトに継続的に摂取させています。プロバイオティクスは、ヨーグルトや納豆など経口的に摂取する生菌製品のことです。

 プレバイオティクスとは、オリゴ糖や食物繊維など我々のおなかにいる腸内有用菌(ビフィズス菌や乳酸菌)のエサとなる物質です。シンバイオティクスは、これら両方が含まれる食品です。これらの食品の上手な活用方法は、包装の表示をよく読んで使用することです。

 独立行政法人 国立健康・栄養研究所のHPによるとプレバイオティクスの1日摂取上限量は最高でも10 gとされています[4]。一度に上限量を超えて摂取するとおなかが緩くなります。食品成分の効果は、薬理効果とは異なり、長い期間かけて現れます。間違っても一度に大量に摂取しないようにしてください。

 2009年に Mulder らによってブタを用いた大変興味深い報告がなされています[5]。この実験は、ブタを3群に分けて実験を行っていますので、童話「三匹の子ブタ」を例にとって説明することにします。

 右のイラストに簡単な説明を挿入していますが、1番目の子ブタは、戸外に泥まみれになって生活させます。2番目の子ブタは屋内で様々なブタと雑居させます。3番目の子ブタは一匹一匹に小部屋を与え、定期的に抗生物質を服用させます。言うなれば、3番目の子ブタは、現在の日本人の生活水準の変遷と類似しており、今の我々の生活状況です。

 4週間後の実験結果、免疫機能が最も高かったのは、1番目の子ブタで、次いで、2番目、そして最も悪いのは、3番目の子ブタでした。3番目の子ブタでは、腸内有用菌とされている乳酸菌の数が少なく、炎症に関連するマーカーの発現が高まっていました。

 今日、衛生環境の改善、生活水準の向上、予防接種の普及、食生活・栄養の変化、さらに抗生物質の乱用による幼少時の感染症の減少によって、我々の生活は豊かになりました。一方、生活環境が豊かになるに伴い、我々の免疫機能は反比例するが如く、減弱していたのです。

 本記事では、おなかの中の腸内細菌叢を良好な状態にすることで減弱しつつある免疫機能を取り戻すきっかけを提供できればと考えています。

参考文献(脚注)

  1. Pregliasco F et al. (2008) A new chance of preventing winter diseases by the administration of synbiotic formulations. J Clin Gastroenterol 42 :S224-33.
  2. Cazzola M et al. (2010) Efficacy of a synbiotic supplementation in the prevention of common winter diseases in children: a randomized, double-blind, placebo-controlled pilot study. Ther Adv Respir Dis 4:271-8.
  3. Michael de Vrese, J. Schrezenmeir (2008) Probiotics, Prebiotics, and Synbiotics. Food Biotechnology Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology 111: 1-66.
  4. 独立行政法人 国立健康・栄養研究所「特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」
  5. Mulder IE et al. (2009) Environmentally-acquired bacteria influence microbial diversity and natural innate immune responses at gut surfaces. BMC Biol 20; 7: 79.

文責

長崎県立大学 看護栄養学部 栄養健康学科 助教
田辺 賢一

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